「同じ説明を、また書いている」——Claude Codeを使い始めた人の多くが、どこかでこの状態にぶつかります。 「うちは受託の会社で」「クライアント名は出さないで」「数字は実測のものだけ使って」。プロンプトを工夫すれば減ると思われがちですが、実際に効くのはそこではありませんでした。
AI社員のつくり方では、役割と権限を決めることがAI社員を作る土台だとお伝えしました。ではその役割を、AIはどこで覚えるのか。私たちAlterSyncの場合、答えは1つのファイルに集約されています。CLAUDE.mdです。
CLAUDE.mdは「指示書」ではなく「会社のルールブック」
エンジニア向けの解説では、CLAUDE.mdはコーディング規約を書く場所として紹介されることが多いようです。私たちのような非エンジニアのひとり社長にとっては、意味合いが少し変わります。
書くのはコードの書き方ではなく、事業のルールそのものです。うちは何屋か。どの事業とどの事業を混同してはいけないか。数字の正はどこにあるか。誰にも聞かずに進めてよい範囲はどこまでか。人間の新入社員に初日に渡す資料と、実はかなり近い内容になります。
どこに置くか、置き場所で効き方が変わる
CLAUDE.mdは1箇所にしか置けないわけではありません。私たちは3階層で使い分けています。
| 階層 | 効く範囲 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 作業ルート直下 | すべての事業に共通 | 事業の全体地図、どのフォルダが何を管轄しているか、迷ったときの窓口 |
| 各事業フォルダ直下 | その事業だけ | 事業の定義、指標の置き場所、承認が必要なこと |
| さらに細かいサブフォルダ | 特定の業務だけ | その場でしか使わない手順 |
深い階層に置くほど、その場面での指示は具体的に効きます。逆に、複数の事業をまたいで守ってほしいルールは、ルート直下に書かないと伝わりません。この使い分けを知らずに1枚のファイルへ全部書き込むと、次の問題が起きます。
最初に書いた5つ
実際にうちで最初に固めたのは、次の5項目でした。どれも「なぜ書くのか」が先にあり、書式は後からついてきています。
- この会社は何屋か — 一文で言い切ります。ここが曖昧だと、AIは毎回「一般的な会社」を想定した答えを返してきます。
- 混同してはいけないものの区別 — 私たちは受託事業とAI事業の2本立てで動いています。どちらの話をしているかをAIが最初に判定できるよう、表にして並べました。
- やってはいけないこと — 一番効いた項目です。「外部への送信・公開・決済は本人が行う」「ログイン・パスワードは入力しない」。抽象的な「慎重に対応する」ではなく、判定できる形で具体的に書くほど機能します。
- 数字の扱いと、正はどこにあるか — 「数字は実測のみ使う」「実績の唯一の正はこのファイル」。これを書いていなかった時期、それらしい数字が出てきてしまう場面がありました。
- 迷ったときの窓口 — 依頼が来たらまずどこで受け、どう振り分けるか。人間の組織でいう「まず総務に聞く」に近い役割です。
書く前と書いた後で、同じ依頼がどう変わるか
ルールを書く前は、依頼のたびに前提を聞き返されたり、確認のやり取りが挟まったりしていました。書いた後は、同じ依頼が「どの部署の、どの業務か」をAI側が最初に判定した状態で動き始めます。会話の往復が減るというより、最初の1手からすでに正しい持ち場で動いているという違いです。
この差は、Claude Codeでできる業務一覧で紹介している複数業務を並行して任せる場面ほど大きくなります。部署をまたぐ依頼が増えるほど、「どこが何を管轄しているか」を毎回説明するコストが積み上がるからです。
つまずいたところ
- 長く書きすぎた時期がありました。 全部を1画面に収まらない量で書くと、かえって読まれなくなります。まず1画面に収まる分量から始め、必要になった項目だけ足していくほうがうまくいきました。
- 同じルールを2箇所に書いてしまい、事業の方向がずれたことがあります。 片方だけ更新すると、もう片方が古いまま残ります。正はどちらか1箇所と決め、他方はそこを指すだけにしてから起きなくなりました。
- 「丁寧に対応する」のような抽象的な表現は、ほとんど効きませんでした。 「送信ボタンは本人が押す」のように、AIが判定できる形まで具体化して初めて機能します。
再現するためのポイント:地図とルールを分けて考える
CLAUDE.mdに書く内容は、大きく2種類に分かれます。「どこに何があるか」という地図の部分と、「何をしてよく、何をしてはいけないか」というルールの部分です。地図は事業が増えるたびに更新が必要になりますが、ルールのほうは一度固めるとあまり変わりません。この2つを分けて書いておくと、事業が増えたときに直す範囲が小さく済みます。
これで組織図を先に描く必要はなくなるかもしれません。ただ、地図とルールのどちらを先に書くべきかは、事業がいくつあるかによって変わります。1事業だけなら、ルールから先に書いたほうが早く効果が出ます。
CLAUDE.mdという1つのファイルに何を書くかで、AIが会社をどこまで理解した状態で動き始めるかが変わります。組織図の完成度ではなく、迷ったときにどこを見ればよいかが決まっているかどうか——そこが分かれ目でした。
AlterSyncでは30分の無料相談で、あなたの会社のCLAUDE.mdに最初に何を書くべきか、実際の画面を見せながらお話しします。